「建物の地上階のうち、総務省令(消防法施行規則第5条の2)で定める
避難上又は消火活動上有効な開口部を有しない階をいう。」
と定義されています。
建築基準法にも無窓という用語があるが、居室単位で判定している。
しかし、消防法ではその性格上、階を単位として、無窓かどうか判定している。
また、無窓階の定義上、地階は無窓階に含まれない。
避難上又は消火活動上有効な開口部
避難上有効な開口 | 直径が50cm以上の円が内接出来る開口部 |
消火活動上有効な開口部 | 直径1m以上の円が内接することができる開口部×2 |
もしくは、幅75cm,高さ1.2m以上の開口部×2 |
大きく分けて11階以上と10階までの建物で分類されます。
無窓階の判定 | 対象階 | 下記条件に該当する階は無窓階 |
11F以上の階 | 避難上有効な開口部の面積の合計 ≦ 1/30×床面積(当該階) |
10F以下の階 | 避難上有効な開口部の面積の合計 ≦ 1/30×床面積(当該階) |
かつ、消火活動上有効な開口部 × 2箇所以上 |
開口部の構造
開口部の構造 | 床面から開口部の下端までの高さが1.2以内であること |
開口部については、道または道に通じる幅1m以上の通路、その他の空地に面したものであること。 (但し、11階以上の階の開口部には適用しない。) |
開口部は、格子その他の内部から容易に避難することを妨げる構造を有しないものであり、 かつ外部から開放し、また容易に破壊することにより進入できるものであること。 |
開口部は開口のため、常時良好な状態に維持されているものであること。 |
ガラスの場合、割って侵入することが前提。
t=6mm以下の普通ガラスの場合 外部から割って入る。
t=6.8mm網入りガラスの場合のFIX窓は不可
t=6.8mm網入りでも引き違いの場合、クレセント錠を壊して全開した部分。
開口部の建具は、FIX窓の場合は容易に取り外すことができなければいけません。屋内でクレセント錠などで施錠されている場合、ガラス厚6.8mmの普通窓や線入ガラス窓であれば、破壊が容易なので開口部として認められますが、網入ガラスの場合は、強度が高く破壊が困難なので、認められません。
ガラス厚が10mm程度ある場合は、破壊作業用のバルコニーなどがなければ、開口部として認められないため注意が必要です。これらは、所轄消防の指導などで考え方が多種あるため、判定計算上有効かどうかは、確認をする必要があります。
例えば、施錠された鉄扉の場合、容易に破壊することが不可能なので有効な開口として計算することができませんが、ガラスの小窓が扉に付いており、ガラスを破壊することでサムターン錠に手が届き、内部に進入することが可能な場合、開口部として判断することが可能です
大板ガラス(H2200)以上の場合は 割るときに危険が伴うので不可となる場合があります。
開口部(開口部の全面にバルコニーがある場合はバルコニー)は、道又は道に通ずる1m以上の道路に面すること
道路は、消防活動上、避難上支障のないもの(アスファルト舗装、砂利敷、芝生など)をいい、
植込み、花壇、駐車スペース等は有効な開口部に該当しない。
無窓階と判定されたら
無窓階となれば消防用設備の殆どの種類で設置基準に微妙な変化が生じます。
屋内消火栓設備・スプリンクラー消火設備・消火器具・自動火災報知設備・非常警報設備・避難器具等消防用設備の設置基準において、建物の用途、面積、階高、収容人員等と同じくらい大切な基準となります。設備の設置基準も大切ですが、無窓階になりますと自動火災報知設備の感知器の種別が光電式煙感知器でなければならないとか、いろいろな制約を受けます。その制約を緩和するために、1階などに設置する大きなシャッターなどは、外部からポンプ車の水圧によって開けることが出来る 水圧シャッター にしている建物がたくさんあります。